カテゴリ: アニメ コメント: 7

アニメ世界名作劇場シリーズについて作品解説をしていくぞ!!!

アニメ世界名作劇場シリーズについて作品解説をしていくぞ!!!
1: 2018/09/24(月) 15:06:16.220 ID:G8Sz+YMTa
よろしいか




26: 2018/09/24(月) 15:59:36.718 ID:G8Sz+YMTa
2-2
イタリアの愛国小説「クオレ」より、その中から100ページにも満たない劇中劇「アペニン山脈からアンデス山脈まで」を原作とする本作《>>>1》。

この短編の物語を一年間のTVシリーズとして描くにあたり、本作ではかなりのオリジナルストーリーが肉付けされた。

そこでは監督・高畑勲氏の意向により、旅の物語を作るときに一番やりやすい方法とされる股旅もの《>>>2》のような義理人情に根ざした物語に仕立てることはしなかった。
原作の持つ風合いを残しながら、名作ものらしく「ありのまま」の人情を描いた物語として描いたのだ。

本作の主人公マルコは原作と同様、旅の道中で借りを作ってばかりの非力な少年として描かれている。
そこに加えて、大人に媚びることのない自我の強さを押し出すことにより、ありのままの子供らしさを追及している。

そこには高畑氏が「良い子」に描きすぎたと語る『ハイジ』の反省があり、本作はよりリアリズムに徹する形となったのだ。

こうした子供像の描き方は後の監督作『赤毛のアン』でも活かされ、高い評価を得た。
また、スタジオジブリ設立後に高畑氏が手掛けた最初の監督作『火垂るの墓』では、そこで描かれる「主人公たる資格の無い主人公」のはしりとして、本作のマルコを挙げている。



>>>1 日本アニメーションは後の1981年に「クオレ」そのものを『愛の学校 クオレ物語』としてアニメ化している。
その中には、「母をたずねて三千里」というサブタイトルの回が前後編分けて2回ある。
言うまでもなく、それは「 アペニン山脈からアンデス山脈まで」を基にした内容である。 》


>>>2 渡世人が諸国を股にかけて旅をする作品。 》




27: 2018/09/24(月) 16:02:03.663 ID:G8Sz+YMTa
2-3
マルコが作中に出会う人物たちには、一見すると善人や悪人のように見える人物がいる。
しかし、各々が貧困や移民の問題などといった社会の暗部を背景とした事情を抱えており、勧善懲悪もののように善悪に典型化されていない。
善人のように見えてマルコを失望させるものもいれば、根っからの悪人もいないのだ《>>>1》。

そして、マルコはそうした周囲の事情に巻き込まれながら、母と再会できる日までひたすらに苦悶の道を歩んでいる。
いわば巻き込まれ型主人公として、子供らしくその非力さが強調され、厳しい現実に曝されていくのだ。

本作では、「ありのまま」の人のあらゆる面をあえてアニメーションとして描いているのだ。
旅ものではあるが、その旅の過程においてもディティールのある生活描写に根ざした名作ものアニメの王道中の王道を行く作品なのだ。

こうした本作の作風は、イタリアのネオレアリズモ映画《>>>2》の影響を受けており、『ハイジ』の頃と比べても人間性がより現実味あるものとして描かれるものとなった。



>>>1 先述したように、高畑氏が本作を股旅ものにすることを避けた理由には、それが勧善懲悪ものの一面もあったからだろう。
そもそも勧善懲悪ものというのは、股旅もののような時代劇においては王道である。》)


>>>2 第二次大戦後に隆盛したイタリア映画の新潮流。社会の現実をドキュメンタリー映画かのようにして客観的に見つめた描写に特徴を持つ。》




30: 2018/09/24(月) 16:04:42.673 ID:G8Sz+YMTa
2-4
『ハイジ』と同じく、キャラデザと作監には小田部羊一氏を、レイアウトには宮崎駿氏を起用している。
東映動画の出身である両氏はそこで、高畑氏の初監督作品である長編アニメ『太陽の王子ホルスの大冒険』《>>>1》の制作に携わっていた。

そこで『ホルス』のスタッフが集まっているということで、プロデューサーの中島順三氏が同作の脚本を手掛けた深沢一夫氏にもオファーをかけ、本作の脚本として起用した。
そして、高畑氏との協議によって練り上げられた深沢氏の脚本は本作の作風を決定づけたのだ。

その特徴はナレーションや台詞の多用に頼らず、ひたすらに感情描写に訴えたことにある。
それによって静寂な印象を持った描写には、日常パートにおいてはドキュメンタリーを、旅パートにおいてはロードムービーを彷彿させるものなった。
特に、本作に多く登場する貧しい人間たちへの描写は横浜の下町で生まれ育った深沢氏の経験が活かされており、本人が自信を持って描いたと語っている。

また、深沢氏はマルコの家庭背景や旅芸人のペッピーノ一座の設定にも携わっており《>>>2》、どちらも本作の物語において重要な要素となっている。
それほどまでに深沢氏が本作へ与えた影響は大きかったのだ。


>>>1 深沢氏がアイヌの民族叙事詩を基に人形劇用に書き下ろした脚本「チキサニの上に太陽を」を原作とする。
高畑氏がその著作権を買い取ろうとした際、深沢氏は原作のみを売ることに戸惑ったため、深沢氏自身も脚本として『ホルス』の制作に参加することになった。》


>>>2 ペッピーノ一座については深沢氏の人形劇団時代の経験も活かされている。》




おすすめ人気記事

41: 2018/09/24(月) 16:13:42.008 ID:G8Sz+YMTa
3-3
監督には遠藤政治氏が起用され、キャラデザや作監《>>>1》としても活躍することになった。

遠藤氏はズイヨー映像時代に『山ねずみロッキーチャック』の監督も務めており、それを下地として本作を制作したと語っている。

『ロッキーチャック』では擬人化された動物たちが数多く出てくるのだが、それを描写するために遠藤氏は動物たちの習性について研究していた。
その中にはアライグマの研究も含まれており、本作のラスカルの習性を描く際にも活かされることになった。
また、ラスカルの個性や細かい動作の表現には、ロケハン時に取材してきた、民家で餌付けされていたアライグマを参考にしている。

こうして遠藤氏が手掛けたラスカルはアライグマとしての気性と一個体としての性格を兼ね備えた、ごく当たり前の自然味のあるキャラとして描かれたのだ《>>>2》。

ラスカルが人気となった理由の1つは、まさにその自然味に溢れた愛嬌があるからだろう。




>>>1 本作のメイン作監である桜井美知代氏が一時期病欠していたため、その代役として遠藤氏が作監を務めた。代役ながらも、全体の半数近くの回を担当している。》

>>>2 ラスカルの声を演じる野沢雅子氏も、動物園に通いつめて実際に聴いたアライグマの声を参考にしていた。》




2: 2018/09/24(月) 15:06:36.533 ID:zVB8lHLwM
またあ?




3: 2018/09/24(月) 15:07:05.718 ID:dJjXb8e30
名作劇場ガイジ




4: 2018/09/24(月) 15:07:06.704 ID:qS5MBRPgd
ピーターパン好きだった




5: 2018/09/24(月) 15:08:11.935 ID:G8Sz+YMTa
0-1
【アルプスの少女ハイジ】
スイスの自然の中で暮らす少女ハイジの成長や、周囲の人々との交流を描く。

放送期間:1974年1月6日~12月29日 全52話
冠枠:カルピスまんが劇場
提供:カルピス食品工業

監督(クレジット上は演出):高畑勲
プロデューサー/瑞鷹エンタープライズ社長:高橋茂人
担当プロデューサー:中島順三
脚本:吉田義昭、大川久男、佐々木守
キャラデザ:小田部羊一
作画監督:小田部羊一
音楽: 渡辺岳夫

原作:ヨハンナ・シュピリ(スイス)
舞台:推定1880年前後 スイス、ドイツ


nTxWN3o




6: 2018/09/24(月) 15:10:17.894 ID:G8Sz+YMTa
0-2
★今や長編アニメの巨匠として知られる高畑勲氏によるTVシリーズ初監督作品。

「名作ものアニメ」という新潮流を生み出し、 後の名劇シリーズの作風や制作スタンスの基礎を築いた本作。
名作ものアニメと括られる作品はそれまでにもあったが、そのどれもが動物を擬人化するなどの、メルヘン色の濃いものであった。
しかし、本作では非ファンタジーの世界における人間の日常生活を描いている。それも『サザエさん』のような漫画的表現ではなく、現実味を持ったものだ。

これは当時のアニメとしては衝撃的であり、大きな冒険でもあった。
そのため、企画時には関係者から「失敗する」とささやかれたりもしたが、その予想を大きく裏切り、ヒットを成し遂げたのである。
その頃、後にアニメブームを牽引することとなる『宇宙戦艦ヤマト』が裏番組として放映されていたが、本作の影響で苦戦を強いられたことは有名な話だ(>>0�。


(※ 『ハイジ』より遅れて1974年10月に『ヤマト』が読売テレビ系で放送される。
その頃、『ハイジ』は物語の佳境を迎える第4クール目に入っており、『ヤマト』は初っぱなから厳しい状況に立たされてしまった。
そして、視聴率の低迷と制作費の増大から、予定していた1年を待たずして半年で終了してしまったのだ。
その後、新人類世代が中心となって徐々にコアなファンが増えていき、1977年に劇場版が公開されたのをきっかけにアニメブームが巻き起こる。
ちなみに、『ヤマト』プロデューサーの西崎義展氏は『ハイジ』の前番組である『山ねずみロッキーチャック』に外部プロデューサーとして携わったことがある。)




7: 2018/09/24(月) 15:11:01.587 ID:G8Sz+YMTa
0-3
★さて、ここで気になるのは、なぜ本作が制作されたかということだ。
そこには瑞鷹エンタープライズ社長の高橋茂人氏の長年の思いと、高畑氏の挫折があった。

原作に強い思い入れがある高橋氏は、瑞鷹設立以前から『ハイジ』を構想しており、また、日本のアニメーションを世界に通用するものとしたいと考えていた。
瑞鷹の設立後、しばらく立って理想の制作体制ができつつあった頃に本作の企画を立てたというのだ。
しかし、この企画の売り込みは放送局や広告代理店から猛反発を受け、実制作を担ってくれる人も中々見つからなかった。
そうした中、Aプロの大塚康生氏(※)により、高畑氏が紹介されたのだ。


(※ 東映動画時代の高畑氏の先輩。アニメーターとしては宮崎駿氏の直々の上司となる。)




8: 2018/09/24(月) 15:12:34.419 ID:G8Sz+YMTa
0-4
★一方、高畑氏は以前にTVシリーズ用の名作ものアニメとして『長くつ下のピッピ』(※)の企画を請け負っていた。
その立ち上げのため、小田部羊一氏と宮崎駿氏を誘い、東映動画からAプロへ移籍した経緯がある。
しかし、『ピッピ』は原作者からの版権許可が降りず、代わりに中編作『パンダコパンダ』を制作されたのだ。

その後、高畑氏は高橋氏から本作企画の打診を受けたのである。
そして、アニメ化のための算段が整ったのち、再び小田部氏と宮崎氏を誘って、本作の制作へと至ったのだ。

このように『ピッピ』での挫折が『ハイジ』制作への原動力となったのである。

そもそも『ピッピ』の企画を請け負った理由の一つが、演劇性のないごく当たり前の日常描写を描きたい思いにあったのだ。
これには、アニメ業界を席巻していたスポ根やSFといった刺激的な作品郡に対するアンチテーゼも込められている。


(※スウェーデンの児童文学作家アストリッド・リンドグレーンによる同名の創作童話を原作とする。
宮崎吾朗監督作品の『山賊の娘ローニャ』の原作者でもある。)




9: 2018/09/24(月) 15:14:19.278 ID:G8Sz+YMTa
0-5
★本作の制作にあたり、高橋氏と高畑氏に共通している方針がある。
それは良心的作品を目指していることと、ディティールの追及だ。

前者は、高度経済成長によりもたらされた、物質文明に晒される子供や公害問題などが表面化した社会に訴えかけるものだ。
それは原作の持つ自然讃歌や人との信頼という魅力を通じて伝えられている。
原作にある宗教色の強い描写も、 本作で重点が充てられた自然描写や日常描写の中に自然に溶け込んでいるのだ。

後者は、本作の舞台であるスイスの暮らしを知らなければ、丁寧な日常描写を描くにも、世界に通用させることも叶わないからと思ったからだ。


そこでまず行われたのが、日本のアニメとして初となる海外ロケハンである。

既に『ピッピ』企画時には宮崎氏が単独でスウェーデンへロケハンに行っていたが、実際にアニメ化に至ったものとしては本作が初めてだ。

海外ロケハンではその地の風土はもちろんのこと、現地住民の生活習慣や衣食住、仕草などを綿密に調べ上げている。
高畑氏は帰国後も民俗学的な研究にまで着手し、アニメーションとの釣り合いも考えながら、独自の演出方法を構築したのだ。




11: 2018/09/24(月) 15:17:52.214 ID:G8Sz+YMTa
0-7
★今となってはお互いに大きく異なった路線を歩んでいる高畑氏と宮崎氏。
本作は、そんな両氏が最も歩み寄りを見せたのが作品であるという見方もできる。

なぜなら、本作は高畑氏の志向するリアリズムでありながら、宮崎氏の志向する躍動とファンタジーの面を見せているからだ。

まず、本作ではアニメーションならではの表現として、ハプニングを盛り込んだり、心の動きを視覚化したりすることで、そこに躍動感を与えているのだ。
そして、 ハイジの暮らすアルプスが自然の理想郷として描かれ、また、ハイジというただ一人の少女が周囲の人々を変えていく様は一種のファンタジーとさえ言えるのだ。

高畑氏の作品はアニメーターの個性を引き出すことを演出方針としているが、本作ではその対象の一人が宮崎氏である。
今となってはそれが非常に価値あるものと思える。




12: 2018/09/24(月) 15:23:05.790 ID:G8Sz+YMTa
0-8
★また、両氏の盟友である小田部氏の存在も忘れてはならない。

小田部氏は東映動画時代に「アニメーションの神様」こと森康二氏に師事しており、師と同じく子供や動物の絵を得意とするアニメーターである。
本作ではキャラデザと全話作監に起用されており、生き生きとしたその絵柄は、本作の持つ「躍動」を常に支えてくれている存在だ。

こうした小田部氏のキャラデザは本作のみならず後の名劇シリーズにおいて重要な地位を占めることになる。それについては『フランダース』の項で説明しよう。
ちなみに、本作が初という訳ではないが、「キャラクターデザイン」という役職の設置は当時としては珍しいことだった。

このようにして、アニメ業界における当代一の人材を携え、国産アニメーションに新しいムーヴメントが沸きつつあった70年代に『アルプスの少女ハイジ』を誕生したのである。




13: 2018/09/24(月) 15:26:48.909 ID:G8Sz+YMTa
1-1
【フランダースの犬】
貧しさの中でもひたむきに暮らす、絵の好きな少年ネロとジェハンじいさん。愛犬パトラッシュと出会い、生涯をともにする。

放送期間: 1975年1月5日~12月28日 全52話
冠枠:カルピスこども劇場(27話以降)
提供:カルピス食品工業

監督 :黒田昌郎
プロデューサー:中島順三、松土隆二
脚本:中西隆三、加瀬高之、雪室俊一、佐藤道雄、安藤豊弘、伊東恒久、高山由紀子、松島昭
絵コンテ:黒田昌郎、柴田一、山崎修二、奥田誠治、斧谷稔、高畑勲、横田和善、西牧秀雄、水沢わたる、佐々木正広
キャラデザ:森やすじ
作画監督:岡田敏靖、羽根章悦
音楽: 渡辺岳夫
企画:佐藤昭司

原作:ルイズ・ド・ラ・ラメー(イギリス)
舞台:1870年代 ベルギー

XpCrRRI




14: 2018/09/24(月) 15:29:20.786 ID:G8Sz+YMTa
1-2
日本アニメーション(株)における名劇シリーズの第一作目にして、同社が手掛けることになった最初のアニメ作品。

『ハイジ』に続いて、生活描写に根ざした等身大の人間たちによるドラマが描かれたことにより、本作のヒットをもって名作ものアニメの路線が定着することになった。
そして、その路線には『ハイジ』ではほとんど描かれなかった「暗さ」や「重さ」が新たな色として加わることになったのだ。

悲劇的・シリアスな内容の名作ものアニメのルーツは本作にあり、同時に巷での「名作ものアニメ=暗くて重い」というイメージの源泉もここにあるのだろう。
特にアニメ特集系のテレビ番組が毎度のごとく本作最終回の例の名場面を取り上げていることによる影響は大きい《※》。
そして、それが巷での名作ものアニメへの偏見と毛嫌いを助長させている気もしてならない。

このように、良くも悪くも『フランダース』は名作ものアニメを代表する作品の1つと言える。


《※ 他にも『ハイジ』のクララが立つシーンや『ラスカル』のラスカルとの別れのシーンは定番中の定番だろう。
自分の印象ではそれに続いて『三千里』と『アン』が取り上げられ、たまに『セーラ』、わずかに『トム』や『フローネ』が入ってくるように感じる。
これら以外の作品が挙がった例も見たことはあるが、それは稀である。》




15: 2018/09/24(月) 15:31:41.961 ID:G8Sz+YMTa
1-3
本作の企画・制作には一社提供スポンサーであったカルピスの影響力が大きい。

元々ズイヨー映像(本作制作中に日本アニメーションとして独立)では『ハイジ』の後番組として、「シートン動物記」のアニメ化作品が企画されていた。
しかし、当時のカルピス食品工業の社長であった土倉冨士雄氏が「フランダースの犬」のアニメ化を強く推薦したため、「シートン動物記」の企画は取り下げられ、本作の制作に至ったのだ《※》。

制作中においては土倉氏は全話脚本のチェックを行っている。
それ自体はそれまでの提供作品でも行ってきたことなのだが、本作に関しては特に最終回への強いこだわりを見せている。

最終回では脚本のみならず絵コンテまでもチェックしており、
劇伴には「アベマリア」を使ってもらうためにかなりの自費負担も行っている。
そして、ネロとパトラッシュの最期についても直接的に「死」を描くのではなく、「昇天」という形をとるように求めたのである。


《※ その後、「シートン動物記」の企画は別の放送枠で採用され、1977年にANB系列で『シートン動物記 くまの子ジャッキー』として放送された。
監督とキャラデザは本作と同じであり、他にも多くのメインスタッフが共通している。》




16: 2018/09/24(月) 15:32:43.383 ID:G8Sz+YMTa
1-4
制作スタッフは土倉氏の意向に沿うままに最後を締めくくったわけなのだが、これは土倉氏がクリスチャンであったからこそ、そこまでの情熱が注がれたというわけだ。

最終回が近付くにつれ、ネロとパトラッシュの死を望まない嘆願の便りが放送局に殺到していた。
しかし、彼らの死は制作開始時点で決められていたものであり、それを暗示したものがOP映像のラストカットとして毎週映し出されていたのだ。

かくして制作された最終回は平均視聴率が30%を越え、『ハイジ』を含めた名劇シリーズ全1213話中で最も高い数字となった。
後々、名劇シリーズはスポンサーよりも局側の意向が大きく反映されるようになるのだが、この頃はまだ一社提供スポンサーの影響力が強かったことがよくわかるエピソードである。




17: 2018/09/24(月) 15:37:19.425 ID:G8Sz+YMTa
1-5
本作のキャラデザは前作『ハイジ』の項でも説明した小田部羊一氏の師であり、東映動画時代にアニメーターたちの指導的立場にあたった森やすじ氏だ。

子供と動物の絵を得意とし、線の少なさとその滑らかさに特徴を持っている。
後進である小田部氏もその影響を受けており、『ハイジ』と『フランダース』を通して東映動画出身の両氏が手掛けたキャラは以降の名劇シリーズのキャラデザインの方向性を示すものとなった。

この頃、森氏は眼の病に冒されて視力が著しく低下していたため、メインスタッフとして参加していた名劇作品は本作のみである。
しかし、それ以降の名劇シリーズにおいても、キャラクター原案や企画用イメージボードの設計などを通して都度何らかの形で携わっている。
それほどまでにも、森氏が名劇シリーズに与えた影響は大きいのだ。

ちなみに、 名劇シリーズは絵柄面においてジブリ作品と似ているとよく指摘されることがある。
それもそのはず、ジブリ作品も森氏の教えを受けた宮崎駿氏ら東映系アニメーターがその絵柄の基礎を築いたからである。
絵柄が似通うため、日本アニメーションからスタジオジブリへ移ったアニメーターも多い。




18: 2018/09/24(月) 15:40:34.259 ID:G8Sz+YMTa
1-6
本作の作風は暗くて重いという認識が強い。
実際に終盤はその通りでもあるのだが、そこに至るまではほのぼのとまでは言わないまでも、牧歌的な風合いが強い。

それでも序盤のうちから暗い影は見せており、次第にネロを哀れな立場に持っていこうとする演出があることは否めない。
言わずと知れた結末を待たずして、これをまず肯定的に見るか否かで本作への評価が大きく変わるだろう。

以降の名劇シリーズにおいてもその傾向が見られる作品はある。

しかし、本作では物語の残酷さに対して、性格が大きく理想化された主人公が受け身になりすぎた感がある《※》。
そして、デッドエンドという結末と中盤までゆったりしたテンポがひたすら続いているということも合わさり、否定的に見てしまった人にとっては後味の悪さが続く残るものと思われる。

また、テンポについて言えば、茶の間を囲って腰をじっくり据えながら本作を観てきた世代と、そうでない世代の間にはその感じ方に大きな違いもあることだろう。

抜群に高い知名度とは裏腹に、賛否が大きく別れる作品である。


《※ この点は『小公女セーラ』も同じであるが、 結末の在り方や物語のテンポは決定的に異なっている。》




20: 2018/09/24(月) 15:47:42.455 ID:0z6+v7amp
ロッキーチャックはこの系譜からは外れるの?




23: 2018/09/24(月) 15:56:49.592 ID:G8Sz+YMTa
>>20
広義として扱うこともある




22: 2018/09/24(月) 15:55:40.717 ID:G8Sz+YMTa
ここでプロダクション解説

【ズイヨー映像】
日本アニメーションの前身である、 瑞鷹エンタープライズを親元とするアニメ制作会社。

製作プロダクションである瑞鷹エンタープライズが、それまでアニメの実制作を委託していた虫プロダクションの倒産を受けたことにより、新たに制作部門として設立したもの。
『アルプスの少女ハイジ』を制作し、その放送枠の次作として『フランダースの犬』も手掛けることになった。しかし、その制作中に瑞鷹エンタープライズとの間に賃金を巡る物争が起こり、ズイヨー映像はスタッフやスタジオをそのままに日本アニメーションとして独立する。

制作済みだった『アルプスの少女ハイジ』の版権は瑞鷹エンタープライズが所有し、現在はその後継のズイヨーが管理することになったが、まだ制作序盤だった『フランダースの犬』と『みつばちマーヤの冒険』の版権は日本アニメーションが継承している。
なお、制作終盤を迎えようとしていた『小さなバイキング ビッケ』は版権が両社に分断される形となった。



【日本アニメーション】
今では『ちびまる子ちゃん』としての方が馴染み深い、世界名作劇場シリーズの制作会社。

虫プロダクション倒産後のポスト虫プロの時代でもあった。
東映動画、東京ムービー、タツノコプロといった古参のプロダクションと
72年設立のサンライズと並び、アニメ作品の多様化を

かつては東京ムービー、東映動画、タツノコプロ、エイケンと並び、五大制作会社の一角を占めていたが、名劇シリーズが一旦休止した90年代後半から陰りを見せていることは否めない。

一時期は脱税騒ぎや二次使用料を巡って声優の組合と裁判沙汰を起こしていた。特に後者は組合の代表が永井一郎氏や野沢雅子氏だったことから、名劇シリーズにおいても因果が強いものとなっていた。

全体的な作品傾向としては、やはり名劇シリーズを筆頭に名作ものアニメが非常に多いことがまず第一に挙げられ、そのスタンスはズイヨー映像時代から受け継がれたものだ。
次に、動物キャラにスポットを当てられた作品も多く、リアル志向から人間じみたもの、更に擬人化されたものまでいる。
例として、『みつばちマーヤの冒険』や『宇宙船サジタリウス』、『平成イヌ物語バウ』などが挙げられる。

90年代からは制作業界の風潮に沿い、漫画原作の作品も積極的にアニメ化している。
中でも、創刊間もなかった「月刊少年ガンガン」掲載作をいち早く手掛けた制作会社であることに印象を覚えるものもいるだろう。
個人的に、名劇シリーズとは別個に『魔法陣グルグル』も非常に思い入れ深い作品だ。

また、名劇シリーズを主力ブランドとしていたためか、全体的に丸みのある絵柄が目立っている。漫画原作の作品に関しては原作の絵柄も採用基準にしていたのだろうか。
特に本誌では絵柄の浮いている『ちびまる子ちゃん』や『花さか天使テンテンくん』を手掛けているあたり、そのように見て取れる。




24: 2018/09/24(月) 15:58:25.688 ID:G8Sz+YMTa
2-1
【母をたずねて三千里】
アルゼンチンへ出稼ぎに行ったマルコの母。便りが途絶え、マルコは母を想い、一人旅立つ決意をする。三千里の果てを目指し、ジェノバを発つ。

放送期間:1976年1月4日~12月26日 全52話
冠枠:カルピスこども劇場
提供:カルピス食品工業

監督:高畑勲
プロデューサー:中島順三、松土隆二
脚本:深沢一夫
絵コンテ:高畑勲、富野喜幸、奥田誠治、黒田昌郎
キャラデザ:小田部羊一
作画監督:小田部羊一
音楽: 坂田晃一
企画:佐藤昭司

原作:エドモンド・デ・アミーチス(イタリア)
舞台:1879~1880年 イタリア→アルゼンチン

yZedCwd




25: 2018/09/24(月) 15:59:25.901 ID:Gri1HsmWD
ハイジはワートーリはのパクリなんでしょ知ってるよ




38: 2018/09/24(月) 16:09:49.011 ID:G8Sz+YMTa
3-1
【あらいぐまラスカル】
動物好きの少年スターリングは森で見つけたアライグマの赤ん坊にラスカルと名付けて育てる。スターリングとラスカルの一年間の物語。

放送期間: 1977年1月2日~12月25日 全52話
冠枠:カルピスこども劇場
提供:カルピス食品工業

監督:遠藤政治、腰繁男(補佐)、斎藤博(補佐)
プロデューサー:中島順三、加藤良雄
脚本:宮崎晃、加藤盟(補佐)、太田省吾(補佐)、佐藤嘉助(補佐)
絵コンテ:奥田誠治、森光、御厨恭輔、富野喜幸/とみの喜幸、斎藤博、山崎修二、池野文雄、太田信
キャラデザ:遠藤政治(メイン)、森康二ほか
作画監督:桜井美知代(メイン)、遠藤政治、小川隆雄
音楽: 渡辺岳夫
企画:佐藤昭司

原作:スターリング・ノース(アメリカ)
舞台:1914~1915年 アメリカ

http://imgur.com/XpCrRRI.jpg
http://imgur.com/gzxle0O.jpg
http://imgur.com/qi0XEQa.jpg




40: 2018/09/24(月) 16:10:47.904 ID:G8Sz+YMTa
3-2
名劇シリーズを代表するとともに、日本アニメーションの公式シンボルキャラクターでもあるアライグマのラスカル。
日本のアニメ史においても動物キャラの中では高い知名度を持つ「ラスカル」。

名劇シリーズではマーチャンダイジング(商品化計画)を意識して、主人公のお供となる動物キャラを出しているが、本作のラスカルはその最たる成功例である。
放送開始から40年近く経つ現在においても、未だにキャラクター商品を展開しているからだ。

そんな人気者のラスカルは同名の実在したアライグマをモデルとしている。

原作は本作の主人公のモデルでもあるスターリング・ノースその人が著しており、彼の少年時代の実体験を基にした自伝的小説《※》となっている。
その実体験こそが彼がラスカルと名付けたアライグマとの思い出なのである。


《※ 舞台となる街の名前が実在のものとは異なったり、ノースがよくないと感じた人物については仮名を使っている。そうしたわずかなフィクションがあるため、「自伝的小説」となっている。》




42: 2018/09/24(月) 16:15:05.524 ID:G8Sz+YMTa
3-4
さて、ここまでラスカルに焦点を当てたが、主人公はあくまでもスターリング少年である。
そして、遠藤氏は本作の物語をスターリングの成長物語として押し出している。

このようなドラマを作るにあたり、遠藤氏とプロデューサーの中島順三氏は丹念な日常を描ける脚本家を求めていた。
そこで出会ったのが松竹映画やテレビドラマの脚本を数多く手掛けたきた宮崎晃氏である。

両氏から熱烈なオファーをかけられた宮崎氏は本作において初めてアニメ作品の脚本を手掛けることとなった。
宮崎氏はアニメ用の脚本ということで最初は戸惑いがあったと語り、遠藤氏から「映画やテレビドラマを書くように書いてください」と言われて説得に応じたとのこと。
実際に本作では生身の人間が演じても通じるドラマとして脚本を書き下ろしており、遠藤氏らスタッフからの高い評価を得たのだ。




43: 2018/09/24(月) 16:15:35.426 ID:P0oeo2YTM
神様ありがとう僕に友達をくれて




44: 2018/09/24(月) 16:16:27.821 ID:G8Sz+YMTa
3-5
宮崎氏は時間をかけて心の葛藤を描くことを得意としており、少年の成長を描いた本作においてそれが大いに発揮されたと言える。
それはスターリングの成長を分かりやすく象徴づけるために脚色されたオリジナルのエピソードを見るとよくわかってくる。
特にそこで注目したいのは物語の終わり方である。

物語の最後にスターリングはラスカルを手放すことになるのだが、その直接の理由が原作と本作とでは異なっている。
原作では動物嫌いの家政婦を来ることになったのがその理由だ。しかし、本作では父親の事業失敗により、スターリングが都会へ引っ越すことになったのが理由である。

ラスカルとの別れと共にスターリング自身も住み慣れた街を離れ、自身の少年時代への別れという形で区切りをつけているのだ。
原作者ノースが自身の少年時代をノスタルジックに書いたように、本作もそのように趣向を凝らしているものと強く伺える。




45: 2018/09/24(月) 16:18:04.238 ID:m8Lmfn5C0
ゲーセンのプライズに未だにラスカルあるわ




46: 2018/09/24(月) 16:18:39.244 ID:G8Sz+YMTa
3-6
丹念な人間ドラマを描き、擬人化や宗教性といったフィルターを通さない純粋な動物ものとして新境地を開拓することに成功した本作。
しかし、物語は名劇シリーズの中でもかなり地味な展開となっている。おまけにただでさえ地味な絵柄と言われる名劇シリーズの中でも、本作はとりわけ地味である。
そのせいだろう、現在では「ラスカル」のキャラ人気に比べて作品そのものの人気が釣り合っていない印象が極めて強い。


そんな地味な作品ではあるが、舞台や脚本が織り成すノスタルジックな演出は本作の大きな魅力となっている。
また、隠れた魅力としてユーモアに富んでいることにも注目してもらいたい作品だ。
宮崎氏による淡々としながらもユーモア溢れる台詞回しは、地味な本作にアクセントを添えてくれること請け合いだ。

主演声優の配役も特徴的で、スターリングとその友人であるオスカーとアリスの声優には、そのキャラとほとんど年齢が同じである子役が起用されているのだ。
スターリング役の内海敏彦氏(放送開始時は11歳)はまだ変声期を迎えておらず、本物の男の子ならではの甘い声色が魅力的である。
声優ファンにはアリス役の冨永みーな氏(初登板時は10歳)にも注目だ。




47: 2018/09/24(月) 16:19:45.640 ID:G8Sz+YMTa
3-7
さて、最後に『ラスカル』を語る上では避けては通れない「闇」について触れよう。

本作がヒットしたことにより、動物園では日本に生息していないアライグマを見ようとする客が押し寄せてきたという。
そして、視聴者の中には実際にアライグマを飼い出す人までが続々と現れたのだ。

しかし、アライグマは気性が獰猛であり、成長するにつれ攻撃的かつ活発となっていく。
そのため、飼育が困難となり、アニメを真似てアライグマを山野に放す飼い主が頻発することになった。

放逐されたアライグマはその繁殖力の高さから、各地で野生として根付きはじめ、在来種や人里に大きな被害をもたらすようになったのだ。

そのため、2005年には外来生物法の施行に伴い、真っ先に特定外来生物指定を受けることになった。言い換えれば、公然に害獣として扱われてしまったのである。悲しい顛末だ。

アライグマは北米原産なので、アニメのようにアメリカで帰す分には何ら問題はない。
それになによりも、アライグマを飼うことの難しさはアニメでも描かれていることなのだ。




53: 2018/09/24(月) 16:29:31.862 ID:m8Lmfn5C0
vipってロミオしか見てないやつばっか




54: 2018/09/24(月) 16:30:37.071 ID:deCY0PeP0
なんか急にディスられたけど世界名作劇場のDVD全部持ってるんだ・・・
BD買い替えも考えてるけどなかなか手が出ない




62: 2018/09/24(月) 16:55:32.856 ID:m8Lmfn5C0
>>54
別にあなたをディスってるわけではないけどネットで話題になるのってロミオばっかな気がする
ちなみに名劇全部見たけどロミオはホモ臭いからあんまり好きじゃない(泣けたけど)、まぁ他の作品が個人的に良すぎるだけかもしれないが




おすすめ記事紹介

注目おすすめ記事

おすすめサイト最新記事一覧

コメント(7)

    • 名無しのチェックメイト 2018年09月25日 00:38:49 ▼返信する
    • もっとこうどの作品がどう面白いとかさぁ・・・
      製作裏話とかスタッフ議論とかどうでもええねん

      俺は私のあしながおじさんが好きです

    • 名無しのチェックメイト 2018年09月25日 03:50:26 ▼返信する
    • なんでこんな中途半端なスレまとめたの?

    • 名無しのチェックメイト 2018年09月25日 05:57:25 ▼返信する
    • フラダンの話 すごい

    • 名無しのチェックメイト 2018年09月25日 08:04:51 ▼返信する
    • 趣味本位で書いた卒論かな?出典もあるといいのだけれど。名劇ならやはりアン。

    • 名無しのチェックメイト 2018年09月25日 12:04:29 ▼返信する
    • 中途半端なスレではなくてスレを中途半端にまとめたパターンも考えられる

    • 名無しのチェックメイト 2018年09月25日 15:02:30 ▼返信する
    • 興味あったけど読みづれえ

    • 名無しのチェックメイト 2018年09月26日 13:31:06 ▼返信する
    • 解説についてる画像ずれてるw

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。